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循環器・呼吸器外科

動脈管開存症(PDA)

犬で最も多い先天性の心疾患で、小型犬に多く認められます。動脈管とは胎子期に大動脈と肺動脈をつなぐ血管で、胎児は肺で呼吸ができないためこの血管があるのですが、生まれた後も閉鎖せずに残ってしまうことがあり様々な問題が生じます。

症状

本来心臓は酸素の少ない血液を、肺動脈を介して酸素の豊富な血液にし大動脈から全身に送る仕事をしています。動脈管開存症があると、この酸素が豊富な血液と酸素の少ない血液が混ざり合い、全身にうまく酸素が届けられない状態になります。咳や疲れ易さ、呼吸困難や呼吸が速くなるなどの症状がでることがあります。

診断

聴診、胸部レントゲン、心電図、心臓超音波検査で診断します。この疾患は絶えず異常血流が生じるため、連続性の雑音が発生します。症状がひどくなると雑音は逆に聞こえなくなります。

胸部レントゲンでは左心系の拡大が主に観察されます。
超音波検査では肺動脈に異常血流が認められます。

治療

動脈管開存症の治療は外科的治療が選択され、発見が早ければ根治が可能です。動脈管の形状に応じて選択される手技は分かれますが、コイル塞栓術や、動脈管結紮術などが行われます。

動脈幹開存

   本来閉じるはずの血管

気管虚脱

気管という空気の通り道は気管軟骨と膜性壁によって形成されています。

気管虚脱は軟骨の形成異常によって気管が吸気時あるいは呼気時にぺちゃんこにつぶれて呼吸がしずらくなったりガーガーという咳をしたりします。

気管虚脱 PLLP 専門医
気管虚脱
気管虚脱

治療

気管虚脱はその重症度によってグレードが1から4まであります。

内科・・・重症度に応じてステロイド、気管支拡張剤、ポリ硫化ペントサンなどで治療します。ただ気  

     管軟骨自体を修復することは出来ないため対症療法となります。

 

外科・・・重症の場合外科手術が適応となります。手術法はPLLP(気管プロテーゼ)、気管内ステント法な

     どがあります。頸部から胸部入り口までは気管プロテーゼ、胸部はステントが適応です。

気管虚脱

正常レントゲン

内部から観察

PLLP

手術時に気管の外部にあてがうもの

気管切開

異物をのどに詰まらせた呼吸困難などの緊急時に適応となります。

本来手術時に呼吸の安定化を図るために挿入する気管チューブとよばれるものを直接気管内に挿入します。

 

処置

異物の詰まった位置など状況によりますが、咽頭部より尾側に正中切開を行い、筋肉を左右に分けたのち気管切開を行います。切開部位よりサイズにあった気管チューブを挿入します。

原因を取り除いたのち気管および皮膚を縫合します。

気管切開

喉頭麻痺に対する片側披裂軟骨側方化術(タイバック)

特に大型犬で起こり易く、喉の奥にある軟骨が本来呼吸時に開いて呼吸路を確保するのですが、この軟骨が開かず呼吸困難に陥ることがあります。それを喉頭麻痺といいます。

ステロイド薬で一時的に軽減することも多いですが、進行してしまうことも多い疾患です。

 

 

手術

頸部側方からのアプローチによって筋肉に覆われた軟骨を露出した後、披裂軟骨を後方に引き寄せる形で縫合糸にて結紮します。

タイバック 片側ひれつ軟骨側方化術 喉頭麻痺
タイバック 喉頭麻痺

                    術後の披裂軟骨(左に開いている)

横隔膜ヘルニア

腹部と胸部を隔てている横隔膜が何らかの原因で破れ、肝臓、小腸などが胸部に脱出してしまう病気です。

脱出した臓器による肺・心臓の圧迫や、臓器の機能障害により、呼吸器症状や消化器症状を示します。

横隔膜ヘルニア

横隔膜ヘルニアの胸部レントゲン

(腸が胸部に脱出している)

正常レントゲン

正常なレントゲン

原因

原因には外傷性と先天性があり、犬・猫で最も多いのは交通事故による外傷性横隔膜ヘルニアです。急性の横隔膜ヘルニアは緊急性の高い疾患で、本人の状態次第では緊急手術が必要になります。

 

治療

・手術

まず脱出した臓器を腹部に戻します。その後裂けた横隔膜をデブリードして縫合糸で縫って閉じます。

横隔膜ヘルニア 手術

    実際に裂けた横隔膜     

横隔膜ヘルニア

  裂けた横隔膜を縫っているところ

肺葉切除

早期で孤立性の肺腫瘍において適応となります。肺転移を起こしたものでは適応になりません。

基本的に上皮系腫瘍とよばれるもので発生率は43%肺腺癌19%組織球肉種8%扁平上皮癌です。

猫では肺-指症候群が多く肺より趾端の症状から気づくことが多いです。

治療は緩和療法、抗がん剤、放射線療法、外科手術があります。

肺ガン 肺 切除 

原発性肺腫瘍のレントゲン

肺がん 肺癌 犬
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